2026.09.17

筋トレしても変わらないのはなぜか|「重さ・回数」より「動きの質」|京都・西院の動作指導

同じ種目を、同じ回数、同じ重さでやっているのに、身体が変わる人と変わらない人がいます。その差はどこにあるのか。私は、多くの場合「動きの質」——つまり、どれだけ狙った場所に、正しく効かせられているかにあると考えています。身体を変えたいなら、重さや回数を増やす前に、まず「どう動かすか」を整えることが近道です。京都市右京区・西院のセミパーソナルジム Y-TRAINING では、やり投げで世界・五輪の舞台に立った村上幸史が監修し、京都で動作の質から見直す指導を行っています。この記事では、なぜ「動きの質」が効果を左右するのかを、研究の知見とあわせて解説します。 同じ種目でも、動きの質で効きは大きく変わります。 スクワットも腕立ても、実は「技術」です 意外に思われるかもしれませんが、スクワットや腕立て伏せといった筋トレの種目は、走る・投げると同じ「技術(スキル)」の一種だと、運動学習の研究では捉えられています。技術である以上、正しい動きは繰り返しの練習によって少しずつ身についていくものです。フォームがまだ固まっていないうちから重さばかりを追いかけると、間違った動きのまま「間違い方が上手になる」ことにもなりかねません。 だからこそ、とくに始めたばかりの時期は、きれいに動かせる範囲の負荷で、まず動きそのものを覚えることが大切だとされています。重さは、動きが安定してから少しずつ足していけば十分です。技術を先に、負荷を後に——これは、私が現役時代にやり投げで大切にしてきた順序とまったく同じです。 重さや回数より「どう動かすか」で効きが変わる 同じスクワットでも、股関節から動けているか、膝や腰に頼ってしまっているかで、効く場所はまったく変わります。フォームが崩れると、鍛えたい場所から力が逃げ、別のところに負担が集中してしまう。身体は全身がつながって動くため、一箇所の動きの乱れが、全体の効率を下げてしまうのです(力がどのように伝わっていくかの詳しい仕組みは、連動性の記事にゆずります)。 つまり、効果を決めるのは「どれだけ重いものを、何回挙げたか」だけではありません。「その一回を、どう動かして効かせたか」——動きの質が、同じメニューでも結果を左右することがあります。もちろん栄養や総負荷量も関わりますが、見落とされがちなのがこの動きの質です。私は指導のとき、まず選手やお客様の動きを見て、どこで力が抜け、どこに無理な負担がかかっているかを確かめることから始めます。 重さ・回数だけを優先すると 動きの質を優先すると フォームが崩れ、力が逃げる 狙った場所にしっかり効かせられる 間違った動きのまま上手になる 正しい動きが身につきやすい 伸び悩み・ケガにつながりやすい 遠回りに見えて効率よく変わる 「動きの真似」だけでは足りない ここで一つ、正直にお伝えしておきたいことがあります。「競技の動きに似せたトレーニングをすれば、そのまま競技が伸びる」と思われがちですが、研究ではそう単純ではないと指摘されています。見た目を競技に似せて重りをつけただけの練習は、かえって効果が薄くなることもある、というのです。動きの形をなぞるだけでなく、その動きに必要な力の出し方や、身体の使い方の質までそろって、はじめて意味を持ちます。 「動きの質」とは、フォームを見た目だけ真似ることではありません。狙った筋肉や関節を、正しい順番とタイミングで使えている状態のことです。ここが整わないまま量や重さだけを増やしても、伸び悩みやケガにつながりやすい。遠回りに見えても、動きの質を整えることが、実は近道になりやすいと私は考えています。鍛えるべき筋肉そのものについては、必要な筋肉の記事もあわせてご覧ください。 質を上げるには「正しい反復」と「外からの視点」 では、動きの質はどうやって高めるのか。研究が示すのは、正しい動きを、十分な回数くり返すことの大切さです。毎回のように種目を変えていては、その動きを覚えきる前に別の動きに移ってしまい、身体に定着しにくくなります。ひとつの動きを、丁寧に、繰り返す。地味ですが、これが技術を身につける王道です。 もう一つ有効なのが、「外からの視点」です。自分では正しく動けているつもりでも、実際には癖が出ているもの。動きの学習では、指導者からの的確な声かけ(キューイング)が上達を助けるとされています。あわせて、鏡や動画で自分を客観的に見ると、自分では気づけない癖に気づきやすくなります。こうした外からの客観的な情報が、質を高める助けになります。自己流で伸び悩む一番の原因は、この「外からの視点」が抜けていることかもしれません。 まとめ — 「重さ」より「どう動くか」を先に 身体を効率よく変えたいなら、次の順番を意識してみてください。 筋トレの種目は「技術」。まずきれいに動かせる範囲で、動きを覚える 重さや回数より「どう動かして、どこに効かせたか」を優先する 形の真似だけでは不十分。力の出し方・使い方の質までそろえる ひとつの動きを、正しく、十分に反復する(種目を変えすぎない) 鏡・動画・指導者など「外からの視点」で癖を直す 京都・西院/西京極エリアで、「頑張っているのに変わらない」「自己流の動きに不安がある」という方は、京都市右京区・梅津・西院の Y-TRAINING へ。阪急「西院」駅・「西京極」駅から車で4分、駐車場もあります。10:00〜20:00(水曜定休)、まずは60分の無料体験から、あなたの動きの質を村上が一緒に確かめます。 よくある質問 筋トレを頑張っているのに身体が変わりません。なぜですか? 重さや回数は足りていても、「動きの質」が伴っていない可能性があります。フォームが崩れると、鍛えたい場所から力が逃げてしまうためです。まずは、きれいに動かせる範囲の負荷で、狙った場所に効かせる感覚を身につけることをおすすめします。 重い重量を扱えるようになれば、身体は変わりますか? 重さは大切な要素ですが、それだけでは十分ではありません。研究でも、始めたばかりの時期は技術(正しい動き)を優先し、動きが安定してから負荷を足すことが勧められています。フォームが崩れる重さは、効果を下げ、ケガのリスクも高めます。 競技の動きに似せたトレーニングをすれば競技力は上がりますか? 見た目を似せるだけでは、期待したほど効果が出ないことがあると研究では指摘されています。動きの形をなぞるだけでなく、その動きに必要な力の出し方や身体の使い方の質までそろえることが大切です。動作の質から見直すと、伸び悩みを抜け出しやすくなります。 京都で動きの質から見てもらえるジムはありますか? はい。京都市右京区・西院のセミパーソナルジム Y-TRAINING で、やり投げで世界・五輪に立った村上幸史監修のもと、動作の質から見直す指導を行っています。阪急「西院」駅・「西京極」駅から車で4分、駐車場あり、10:00〜20:00(水曜定休)です。まずは60分の無料体験からどうぞ。

2026.09.03

球速を上げる方法|数字より「力を伝える身体」を鍛える|京都・西院の動作指導

「球速を上げたい」と思ったとき、多くの選手はまず腕や肩を鍛えようとします。けれど、球速を決めているのは腕の強さだけではありません。球速を上げる近道は、スピードガンの数字を追うことではなく、下半身で生んだ力を逃さず指先まで伝えられる身体をつくることです。京都市右京区・西院のセミパーソナルジム Y-TRAINING では、やり投げで世界・五輪の舞台に立った村上幸史が監修し、京都で野球の球速アップと動作指導を行っています。この記事では、私(村上)が現場で伝えている「球速の考え方」を、投球を分析した研究の知見とあわせて解説します。 球速は「腕の強さ」だけでなく、全身で力を伝える能力が大きく関わります。 スピードガンの数字は「結果」であって、鍛える対象ではない まず大前提として、スピードガンの数字は、あなたが投げた結果として出てくる「出力」です。数字そのものを直接鍛えることはできません。それなのに、練習のたびに数字が1km/h上がった下がったで一喜一憂してしまう選手は少なくありません。私は、そこに落とし穴があると考えています。 やり投げの記録も、風やコンディションで簡単にブレます。数字だけを見ていると、良い日と悪い日で気持ちが上下し、本当に伸ばすべきものが見えなくなります。数字は「今の実力を映す鏡」として月単位で確かめる程度にして、日々意識するのは数字ではなく、その数字を生み出している「力の伝わり方」だと私は考えています。数字だけを他人と比べることは、かえって成長を止めてしまうことさえあります。 「速い球」は、力を逃さず伝えた結果 — 地面反力とパワーロス では、その力はどこから生まれるのか。出発点は「腕」ではなく「地面」です。脚で地面を踏んで生まれた力を、逃さず指先まで伝えられたとき、ボールは効率よく加速します(力がどう伝わっていくかの詳しい仕組みは後述の連動性の記事にゆずり、ここでは「力をどこで逃すか」に絞ります)。 投球を分析した研究でも、踏み込み脚が地面を踏む力(地面反力)と球速には強い関係があると報告されています。速く投げる選手ほど踏み込み脚の地面反力が大きく、最も速い部類の投手では、踏み込み脚の地面反力が体重の約2倍に達したという報告もあります。逆に、地面反力が明らかに小さい場合は、どこかで連動が切れて力を逃している可能性があると考えられています。「腕は強いのに球が走らない」という選手を、私は現場で少なからず見てきました。その多くは、力そのものが足りないというより、生んだ力を途中で逃していることが一因ではないかと感じています。 局面 役割 力を逃しやすいポイント 踏み込み脚・地面反力 力を生む出発点 踏ん張れず、地面を押し切れない 骨盤・体幹の回転 力を中継して増幅する 下半身より先に上半身が開く 肩・腕・指先 最後にボールへ伝える 力んで、しなりを使えない 投球フォームそのものの仕組み、地面から指先への力の伝わり方については、連動性を意識した投球フォームの記事で詳しく解説しています。あわせて読むと、球速がどこで生まれ、どこで逃げるのかが立体的に見えてきます。 パワーとスピードは違う — 重い重量が球速を保証しない 「球速を上げたいから、とにかく重いウェイトを挙げる」。これは、私がもっとも注意してほしいと思う考え方のひとつです。パワー(大きな力)とスピード(速さ)は、似ているようで別の能力だからです。 ベンチプレスやスクワットで挙げられる重量が増えても、それがそのまま球速につながるとは限りません。投球のように一瞬で終わる動作で大切なのは、「大きな力」だけでなく「その力をどれだけ速く出せるか」、そして「出した力を無駄なく末端まで伝えられるか」です。いくら強い筋力があっても、力を出すのが遅かったり、途中で逃したりすれば、ボールは走りません。私はやり投げでも、重いバーベルを挙げることより、生んだ力を最後の一点に集めて速く放つことに時間を割いてきました。競技は違っても、この原則は共通していると感じています。 「どんな筋トレをすれば球速は上がりますか?」への答え これは本当によく聞かれる質問です。正直にお答えすると、「これさえやれば必ず上がる」という魔法の種目はありません。ただし、研究から見えてきた手がかりはあります。 成人投手を対象にした複数の研究をまとめたレビューでは、股関節まわりの筋力や柔軟性が、球速の予測因子のひとつだと報告されています(17件の研究・投手909名をまとめた分析)。つまり、下半身、とくに股関節の力と動きは、球速の土台として無視できないということです。走る動作でも同じことが言え、股関節の使い方は球速にも走力にも関わってきます。 一方で、「筋トレをすれば必ず球速が上がる」とは言い切れません。トレーニングで球速が伸びたという研究では、その向上幅は3.7〜26%と幅があり、対照群と比べて明確に有意だったのは、およそ半分の研究にとどまりました。効果を出すには、十分な期間(目安として6週間以上)と負荷、そして何より「鍛えた力を投球動作へ転移させること」が欠かせません。ジムで挙げた重量を、投げる動きにつなげる橋渡しがなければ、筋力は宝の持ち腐れになってしまいます。具体的にどの筋肉が球速とスイングを支えるかは、野球に必要な筋肉の記事にまとめています。 数字より「力の伝え方」を優先する — 今日からのチェックポイント 難しい理論をすべて覚える必要はありません。球速を上げたいと思ったら、次の順番で考えてみてください。 スピードガンの数字は月単位で確認する。日々は数字より「力の伝わり方」に意識を向ける 力の出発点は腕ではなく地面。踏み込み脚で地面を押し切る感覚を確かめる 下半身(とくに股関節)の力と動きを土台として鍛える 「重い重量」より「速く力を出し、逃さず伝える」ことを優先する 鍛えた筋力は、必ず投球動作への転移までセットで練習する 足の裏の接地感覚も力の土台。詳しくは足底感覚の記事へ 京都・西院/西京極エリアで、野球の球速アップや投球フォームの動作指導をお探しなら、京都市右京区・梅津・西院の Y-TRAINING へ。阪急「西院」駅・「西京極」駅から車で4分、駐車場もあります。10:00〜20:00(水曜定休)、まずは60分の無料体験から、あなたが「どこで力を逃しているか」を村上が一緒に確かめます。 よくある質問 球速を上げるには、まず何から始めればいいですか? 腕を鍛える前に、力の出発点である下半身、とくに股関節の力と動き、そして踏み込み脚で地面を押し切る感覚から始めることをおすすめします。研究でも股関節まわりの筋力は球速の予測因子とされています。生んだ力を逃さず伝えるフォームづくりと並行して進めるのが近道です。 筋トレをすれば球速は上がりますか? 上がる可能性はありますが、必ず上がるとは言い切れません。トレーニングで球速が伸びたという研究もありますが、向上幅には幅があり、明確に有意だった研究は半分ほどでした。十分な期間(6週間以上が目安)と負荷、そして鍛えた力を投球動作へ転移させること。これらがそろうほど、球速につながりやすくなります。 スピードガンの数字は気にしなくていいのですか? まったく無視する必要はありませんが、日々の練習で1km/hの上下に一喜一憂するのはおすすめしません。数字はあくまで結果です。月単位で全体の傾向を見て、日々意識するのは数字を生み出す「力の伝わり方」に置くと、遠回りに見えて実は近道になります。 京都で野球の球速アップや動作指導を受けられますか? はい。京都市右京区・西院のセミパーソナルジム Y-TRAINING で、やり投げで世界・五輪に立った村上幸史監修のもと、京都で野球の球速アップと動作指導を行っています。阪急「西院」駅・「西京極」駅から車で4分、駐車場あり、10:00〜20:00(水曜定休)です。まずは60分の無料体験からお気軽にどうぞ。

2026.08.06

やり投げの五輪代表がなぜ野球を教えられるのか|京都・西院の指導論

「やり投げ選手なのに、なぜ野球を教えられるのですか?」——京都・西院のセミパーソナルジムY-TRAININGで指導をしていると、私、村上幸史はこの質問をよくいただきます。競技が違っても、人間の身体の仕組みと動きの原理は共通です。現役時代にやり投げで突き詰めた「身体の連動性」は、そのまま野球の投球や打撃に応用できる——これが私の答えです。 現役時代に突き詰めた身体の連動性が、今の指導の核になっています。 「やり投げの選手が、なぜ野球を?」とよく聞かれます 異競技の出身なのに投球指導ができる。その根拠は二つあると思っています。ひとつは、現役時代に培った身体への理解——解剖学的な要素や、動作を分解して見る目です。もうひとつは、身体の連動性と使い方への深い理解です。 やり投げは、全身の筋肉と関節を効率よく連動させて、約800gのやりを遠くへ運ぶ競技です。記録を伸ばすには、身体の構造と力の伝わり方を理解し、実際の動きに落とし込むしかありません。その過程で養った「身体を読む目」は、野球のマウンドでもそのまま働きます。動きを見れば、どこで力が逃げているのかが見えてくるのです。 競技が違っても、身体の使い方の原理は共通です 投球、バッティング、テニスのサーブ、ゴルフのスイング、そしてやり投げ。これらはどれも「全身を連動させて、軽い物体を加速させる」という点で、根っこが同じだと私は考えています。使う道具は違っても、力を生んで末端まで伝えていく流れは共通しているのです。 競技・動作 加速させる対象 連動のポイント 野球(投球) ボール 足の踏み込み→腰の回転→肩の開き→腕の振り→手首のスナップ 野球(打撃) ボール 下半身の溜めから体幹・腕へ力を順に伝える テニス ボール(サーブ) 地面反力を体幹のひねり戻しに乗せる ゴルフ ボール(スイング) 下半身リードで、上半身が後から連動する やり投げ やり 助走の並進運動を、回転とリリースへ変換する 投手の動作は、足の踏み込みから腰の回転、肩の開き、腕の振り、手首のスナップまでが一連で連動することで、球速やコントロールの改善につながっていくと考えています。逆に、どこか一箇所で流れが滞ると、そこで力は逃げてしまいます。投球フォームそのものの細かい仕組みについては、連動性を意識した投球フォームの記事で詳しく書いています。動作全体のつながりは野球の運動連鎖、その土台となる足の裏の感覚については足底感覚と投球・打撃で触れています。 力の流れを末端まで伝える。競技を越えて共通する原理だと考えています。 29歳から34歳まで、自己ベストを更新し続けられた理由 やり投げ選手の身体的なピークは、一般に20代後半とも言われます。ところが私は、29歳から34歳まで、毎年のように自己ベストを更新しました。身体的に一番強かったのは確かに20代後半だったと思いますが、それでも記録が伸び続けたのは、筋力そのものよりも「力の流れをより上手く使う」ことに取り組んだからだと考えています。 「現役でいる限り、記録を伸ばし続けたい」。その一心で、私は連動性を意識した練習に励みました。溜めと間の作り方、進む部分と残る部分の使い分け——握るより引っ掛ける、という感覚に近いかもしれません。力を伝えるタイミングを整えていくと、身体はまだ伸びしろを見せてくれました。だからこそ、私は連動性を指導の核に置いています。陸上で磨いたこの考え方が他競技にも効く理由は、こちらの記事でもお話ししています。 実績は「身体をとことん理解してきた」根拠です ここで少しだけ、これまでの歩みに触れさせてください。誇示するためではなく、私がどれだけ身体と動きを突き詰めてきたか、その根拠としてお伝えします。2009年のベルリン世界陸上では、やり投げで日本人男子として初めてメダル(銅メダル)をいただきました。オリンピックにはアテネ・北京・ロンドンと3大会連続で出場し、日本選手権では12連覇を重ねました。 これらの記録は、才能というより「身体をどう動かせば力が最大になるか」を考え続けた結果だと思っています。その試行錯誤の中身は、ベルリン世界陸上を振り返った記事にも書きました。競技者としての経験のすべてが、今、目の前の一人ひとりの身体を見るための引き出しになっています。 成功例だけでなく、私自身の失敗もお伝えします 指導では、選手一人ひとりの特性に合わせて、どの連動性を改善すべきかを見極めることを大切にしています。人によって、力が逃げている場所も伸ばせるポイントも違うからです。時には、やり投げで培った技術——体の開き方、腕の軌道、リリースポイントの考え方——を、投球動作に応用してお伝えすることもあります。 そしてもうひとつ、私が必ず共有するのが、自分の失敗です。連動性を意識して記録が伸びた成功例だけでなく、自分の身体を上手く扱えずに苦戦した時期のことも、正直にお話しします。上手くいかない時に何を感じ、どこを修正したのか。その経験のほうが、指導の場面では役に立つことも多いのです。 トップ選手から初心者・シニアまで、京都・西院で 私がお手伝いするのは、トップアスリートだけではありません。スポーツを始めたばかりの方、ダイエット目的の方、体力維持を目指すご高齢の方まで、幅広くレッスンをしています。連動性という考え方は、速く走る、負担の少ない動きをする、疲れにくい身体づくりを目指すといった日常の動きにも活きるからです。たとえば走る動作なら、股関節の使い方がひとつの鍵になります。 異競技出身でも投球指導ができるのは、身体への理解と連動性への理解があるから。 投球・打撃・サーブ・スイング・やり投げは「全身の連動で軽い物を加速させる」点で共通。 29歳から34歳まで自己ベストを更新できたのは、力の流れを上手く使う連動性が一因だったと考えています。 成功例だけでなく、自分の失敗も共有するのが私の指導。 対象はトップ選手から初心者・ダイエット・シニアまで。 Y-TRAININGは、京都市右京区梅津にあるセミパーソナルジムです。阪急「西院」駅・「西京極」駅から車で4分、駐車場もございます。10:00〜20:00(水曜定休)・完全予約制で、まずは60分の無料体験から、あなたの身体の連動性を一緒に確かめてみませんか。投球やスイングの「力の伝わり方」を、私、村上幸史が直接見させていただきます。 よくある質問 やり投げ出身のトレーナーに、野球の投球を教われますか? はい。競技は違っても、全身を連動させて力を伝えるという原理は共通です。私はやり投げの現役時代に身体の構造と力の伝わり方を突き詰めてきました。その視点で、投球のどこで力が逃げているかを見て、改善点をお伝えします。 初心者や運動が苦手でも通えますか? もちろん大丈夫です。トップアスリートだけでなく、スポーツを始めたばかりの方、ダイエットや体力維持が目的の方、ご高齢の方まで幅広く指導しています。今の身体の状態に合わせた進め方をご提案します。 Y-TRAININGはどこにありますか?アクセスを教えてください。 京都市右京区梅津南広町46-2、京都府柔道整復師会別館2階にあります。阪急「西院」駅・「西京極」駅から車で4分、駐車場もございます。10:00〜20:00(水曜定休)・完全予約制です。 体験だけでも受けられますか? はい、60分の無料体験をご用意しています。まずは実際に身体を動かしながら、力の伝わり方や連動性を一緒に確認していただけます。ご予約のうえ、西院・西京極エリアの当ジムまでお越しください。

2026.07.08

野球に必要な筋肉とは|球速とスイングを支える下半身・体幹・肩|京都の動作指導

「球がもっと速くなってほしい」「スイングに力が乗らない」と感じたとき、腕や肩ばかりを鍛えていませんか。京都市右京区・西院のセミパーソナルジムY-TRAININGで、私(村上幸史)はやり投げで世界・五輪の舞台に立った経験をもとに、野球をはじめ各競技の動作指導を行っています。先に結論をお伝えすると、野球に必要な筋肉の中心は「腕」ではなく、地面を踏む下半身と、その力を伝える体幹です。この記事では、球速とスイングの土台になる筋肉を、バイオメカニクスの研究をもとに部位ごとに整理します。 競技に直結する筋肉をバランスよく鍛える 野球は「下半身から生まれる」— パワーの連鎖(キネティックチェーン)とは 投げる・打つは、足で地面を押した力(床反力)を骨盤→体幹→肩→腕(またはバット)へ順番に伝えていく運動連鎖(キネティックチェーン)です。ムチのように、太い根元(下半身・体幹)でつくった力を細い先端(腕・バット)へロスなく受け渡せたとき、もっとも大きなスピードが生まれます。投球を分析した研究では、骨盤と体幹の回旋速度、そして両者の協調(ねじれが生まれる分離のタイミング)が球速の主要な決定因子と報告されています。打撃でも、骨盤の回旋速度と「ヒップ・ショルダー・セパレーション(骨盤と肩の分離)」がバットスピードの主要な決定因子とされています。 逆に言えば、ここが弱いと腕が肩代わりすることになります。あるキネティックチェーンの研究では、骨盤・体幹が生むエネルギーが20%落ちると、同じ力を手元へ届けるために上腕の角速度を約34%も増やす必要があると試算されています。腕に無理をさせるほど肩・肘への負担が増えるため、下半身と体幹を土台として育てることが大切です。考え方の背景は投球・打撃フォームを変える運動連鎖でも整理しています。 球速とスイングの土台になる主要筋群マップ 野球の動作に関わる主な筋群を、役割とともに整理します。 部位 主な筋肉 野球での主な役割 下半身 大臀筋・大腿四頭筋・ハムストリングス 地面を踏み、力を生み出す発生源 体幹・骨盤まわり 腹斜筋・腹直筋・脊柱起立筋 回旋(ねじれ)で力を増幅・中継する 肩(インナー) ローテーターカフ(4筋) 肩を安定させ、振った腕を減速させる 前腕 屈筋群・伸筋群 握り・手首や指のスナップに関与する 体積で見ても下半身(臀筋・大腿四頭筋・ハムストリングス)や背中・胸は大きな筋群で、力の発生源が下半身にあるのは解剖の面からも理にかなっています。京都・西院のセミパーソナルジムでも、まずはこの「土台」から動きを見直します。 下半身:地面を蹴る力が球速とスイングをつくる 下半身は球速とスイングの土台になる 投球は後ろ足で地面を蹴り、股関節を回転させて力を生み出す動作です。打撃でも、両足で地面をしっかり押すこと(地面反力の最大化)が骨盤・体幹の回旋へつながります。臀筋・大腿四頭筋・ハムストリングスが連動して地面に力を伝えられるかどうかが、球速やバットスピードの土台になります。足の裏でどう地面を感じるかも大切で、ここは足底感覚と下半身でも触れています。 とくにお尻の大臀筋は、地面を蹴り股関節を伸ばす主役です(大臀筋は人体で最大の「単一の」筋肉でもあります。詳しくは記事末のQ&Aで)。重いウェイトを扱う前に、まずこの下半身を地面とつなげて使えているかを確認しましょう。 体幹・回旋:骨盤と体幹の「ねじれ」がパワーを増幅する 野球は、投げる・打つ・捕る・走るのいずれにも回旋(ねじり)動作が多く、それを支える基盤が体幹です。鍵になるのは、骨盤が先に回り、上半身がやや遅れて回ることで生まれる「ねじれの差(割れ・分離)」。ゴムを引き伸ばして放すと勢いよく戻るのと同じで、この差が体幹を一気に回す力に変わり、球速やバットスピードへつながります。腹斜筋などの体幹は、力を「生む」より、下半身でつくった力を「ねじって増幅し、上肢へ中継する」役割と捉えると分かりやすいでしょう。回旋の安定には、呼吸による体幹の固定(腹圧のコントロール)の使い方も深く関わってきます。 肩のローテーターカフ:強さより「安定と可動性」を守るインナーマッスル 肩は「強さ」だけを求めがちな部位ですが、私はむしろ「安定と可動性」の両立が大切だと考えています。解剖学の資料(StatPearls)では、ローテーターカフ(回旋筋腱板)は棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4つの筋から成り、上腕骨頭を関節窩に圧着して肩を動的に安定させると記載されています。 見落としがちなのが投球のフォロースルー(減速)局面です。振り終わった腕を減速させる局面では、このローテーターカフを含む肩後方・肩甲帯の筋群が遠心性収縮で大きな張力を受けます。過大な負担が続くと傷害につながりかねません。だからこそ、重い負荷でゴリゴリ鍛えるより、軽い負荷・高回数のインナートレーニングと肩の可動性を保つことが土台になります。なお、肩に痛みや故障の既往がある場合は、自己判断で続けず、整形外科やスポーツ専門の理学療法士など専門家に相談してください。 前腕・握力:見落とされがちな末端の役割と、その限界 現場で指導していると、前腕の大切さは見落とされがちだと感じます。前腕の屈筋・伸筋は握力や手首・指のスナップに関わり、投球ではボールへのスピン付与や握りの安定に寄与すると考えられています。末端がぐらつくと、せっかく下半身・体幹で生んだ力もボールにうまく乗りません。 ただし、ここは正直にお伝えします。握力とバットスピードの直接的な相関は研究によって有意・非有意が混在し、結果が分かれています。前腕だけを単独で鍛えてもスイングが速くなるとは言い切れません。前腕は下半身・体幹という土台の上に乗る「末端の仕上げ」。優先順位を上げすぎないことも、誠実なトレーニング設計だと思っています。 部位別トレーニングの考え方(私のコーチング視点) 正直なところ鍛えてほしい部位はいくらでもありますが、野球の動作につなげる優先順位を整理すると、次のような考え方になります。 下半身:スクワットやランジ、ヒンジ系の多関節種目で、地面を押す力と股関節を使う感覚を育てる 体幹:腹筋を固めるだけでなく、回旋(ねじり)を取り入れ、骨盤と上半身の分離を意識する 肩(インナー):軽負荷・高回数で安定性を養い、あわせて可動性を保つ 前腕:握り・スナップの安定を補う位置づけで、土台ができたうえで加える 大切なのは全身をバランスよく整えることと、続けることです。継続するうちに遠投や球速が伸びていく選手もいますが、伸び方には個人差があり、成長期や体質、練習量によっても結果は変わります。「これをやれば必ず・すぐに速くなる」という話ではなく、土台を育てて動作につなげる地道な積み重ねです。村上幸史が監修する京都のジムとして、その人の体に合わせて種目と負荷を調整しています。 ケガ予防と可動性:CARsなど関節を守る習慣 パフォーマンス向上とケガ予防は、私の中では常にセットです。可動性を保つ手段のひとつにCARs(Controlled Articular Rotations/制御関節回転)があります。Dr. Andreo Spinaが体系化したFunctional Range Conditioning(FRC)に由来する可動性トレーニングで、各関節を自分の筋・神経のコントロール下で、痛みのない最大可動域いっぱいに能動的に回していく運動です。 受動的なストレッチと違い、自分の力で可動域の外縁を動かしてコントロールを高めるのが特徴です。ただし、CARsが野球選手のケガを直接防ぐと示した質の高い研究はまだ限られ、「これをやれば痛めにくくなる」と断定はできません。それでも、肩や股関節の可動性とコントロールを整えておくことは、無理のない動作づくりの土台になります。痛みが出る範囲では行わず、不安があるときは専門家に相談してください。 京都・西院で野球の球速アップ・動作指導を受けるなら Y-TRAININGは、京都市右京区・梅津エリアにある京都・西院のセミパーソナルジムです。阪急「西京極」駅から車で4分(西京極エリア)、阪急「西院」駅からも車で4分、駐車場は2台分あります。10:00〜20:00(水曜定休)・完全予約制で、サッカー・ボクシング・野球・陸上・カヌーなど各競技のアスリートに対応しています。京都で野球の動作指導や球速アップに取り組みたい方へ、下半身・体幹という土台から動きを見直すサポートをしています。まずは60分の無料体験で、いまの動きの課題を一緒に確認してみませんか。 野球で一番鍛えるべき筋肉はどこですか? 特定の一か所というより、地面を踏む下半身(臀筋・大腿四頭筋・ハムストリングス)と、力を伝える体幹がまず土台になります。球速もバットスピードも、下半身→骨盤→体幹→腕という運動連鎖で生まれるためです。腕や前腕は力を仕上げる末端と捉え、全身をバランスよく整えましょう。 人体で最大の筋肉は大腿四頭筋ですか? 「単一の」筋肉として最大級なのが大臀筋(お尻)で、股関節を伸ばす大きな力を発揮します。大腿四頭筋は4つの筋からなる「筋群」で、群としてまとめれば下肢でも最大級ですが、ひとつの筋肉ではありません。なお全身の平均的な骨格筋量は男性で約33kg・女性で約21kgと全身MRIの実測研究で報告されていますが、これは全身の量であって、大腿四頭筋単体の重さではありません。 筋肉は全部でいくつありますか? 数え方によりますが、骨格筋は600以上(名称が付いているもので約640とされることが多い)あります。筋肉は大きく骨格筋・心筋・平滑筋の3種に分かれ、骨に付着して自分の意志で動かせる随意筋が骨格筋です。野球の動作を担うのは、この骨格筋です。 前腕を鍛えればバットは速くなりますか? 前腕は握りや手首・指のスナップ、投球の安定に関わりますが、握力とバットスピードの直接的な相関は研究で結果が分かれています。前腕単独のトレーニングでスイングが速くなるとは言い切れません。まずは下半身・体幹の土台を優先し、前腕は仕上げとして加えるのが現実的です。

2026.07.04

連動性を意識した投球フォーム — 力は地面から指先へ

「球速を上げたい」「コントロールを安定させたい」と思うほど、つい腕に力を入れて投げていませんか。投球フォームの良し悪しは、腕の強さだけでなく「連動性(運動連鎖)」で大きく左右されます。地面から生まれた力を、脚・体幹・肩・腕・指先へと順番に伝えていく——この流れがスムーズなほど、軽いボールは効率よく加速し、腕への負担も減ります。京都・西院のセミパーソナルジム Y-TRAINING では、やり投げで世界・五輪の舞台に立った村上幸史が監修し、この連動性を軸にした野球の動作指導を行っています。この記事では、私(村上)が現場で使う「水風船」のたとえと、投球を分析した研究の知見をあわせて、連動性を意識した投球フォームの考え方を解説します。 力は地面から生まれ、連動して指先のボールへ伝わる 「水風船」で考える投球フォーム — 連動性(運動連鎖)とは何か 私は投球指導をするとき、選手の身体を「水(エネルギー)が詰まった風船」にたとえます。投球動作中に、どこから水が漏れているか——つまり、どこで連動が切れているかを探すのです。この「水漏れ」が、連動できていない部分を示します。漏れがあると、せっかく下半身で生んだ力がボールまで届かず、本来のパフォーマンスを発揮しにくくなります。 連動性とは、難しく言えば「運動連鎖」のことです。身体は一つひとつの分節(脚・骨盤・体幹・肩・腕・手)がつながっていて、力をリレーのように受け渡していきます。投球を分析した研究でも、脚と体幹が主要な力の発生源であり、効率の良い投球は身体の中心側(近位)から末端(遠位)へと順番に角速度が伝わっていくパターンを示すと報告されています。そして、この効率の良い連動は投球腕にかかる負担を減らすとされています。連動性とケガ予防は、表裏一体なのです。 力はどこから生まれるか — 地面反力→踏み込み脚→体幹という流れ 力の出発点は「腕」ではなく「地面」です。脚で地面を踏み、その反作用である地面反力を体幹の回転に変え、最後に肩・腕・指先へと伝えていく。これが投球の力の流れです。腕でボールを押し出している感覚の選手ほど、この出発点が抜け落ちていることが多いものです。足底感覚と地面反力を意識するだけでも、フォームの土台は変わってきます。 局面・部位 主な役割 意識したいこと 軸足〜踏み込み脚(地面反力) 力の発生源 地面をしっかり踏む 骨盤・体幹の回転 力を伝える中継点 下半身から始動して回す 肩〜腕 力を加速して末端へ運ぶ 力まず、しならせる 手・指(リリース) 最後にボールへ伝える 握り込まず引っ掛ける 「力を入れるところで抜く」— 末端の脱力がボールに伝わる理由 多くの人は、肩より先の「腕」に力を入れて投げています。しかし腕でねじ込もうとすると、下半身で生んだ力がそこで止まってしまいます。私は「力を入れるところで抜く」と表現します。力を出すべき下半身・体幹はしっかり使い、腕から指先はリリースまで力まず、ムチのようにしならせる——これが連動性の大きなポイントです。 この「むち動作(whip)」は、打撃・投てき・投球に共通する原理です。古典的な研究は、身体の中心側の分節が減速することで、その反動として末端の分節が加速する仕組みを説明しています。投球・打撃フォームを変える運動連鎖の発想は、まさにここにあります。 ただし、誤解しないでほしい点があります。これは「完全脱力」ではありません。リリースの直前には、前腕や指がしっかり働きます。脱力とは握力をゼロにすることではなく、余計な力みを抜く=力を入れる「順番」と「タイミング」の問題なのです。腕から先で力もうとするのを我慢し、下半身が生んだ力が末端に届くまで待つ。そのための脱力だと考えてください。 データで見る連動性 — 踏み込み脚のブレーキと膝の伸展が球速をつくる 「下半身が大事」という言葉は、研究でも裏づけられています。踏み込み脚(ストライド脚)が生む地面反力は球速と強く相関し、腕を引き上げるコッキング期のピーク地面反力が、球速の最も良い予測因子になると報告されています。一方で、軸足側の地面反力は有意な相関を示しませんでした。つまり、踏み込んだ前の脚でしっかり地面を受け止められるかが鍵を握ります。 さらに、踏み込み脚の膝が接地後にブレーキをかけ、そこから急速に伸びていく動きが、骨盤と体幹の回転を始動させます。プロ投手を調べた研究では、球速の速い群ほど膝の伸展速度が大きく、リリース時に膝が曲がっているほど球速が落ちる傾向が示されています。膝を伸ばして踏ん張ることが、力を上へ伝える「壁」になるわけです。 研究で分かったこと 数値の目安 踏み込み脚の地面反力と球速の関係 r²≈0.61(球速の変動の約6割を説明) 膝伸展速度(高球速群 / 低球速群) 約419°/秒 / 約297°/秒 踏み込み脚の膝の伸び(接地→リリース)と球速 膝が伸びている投球ほど球速が速い傾向(曲がったままだと低下しやすい) 150gのボールを「握る」より「引っ掛ける」— グリップの力みと疲労 野球の公式球は、規定で約142〜149g(NPBで約145g前後)。手のひらに乗るほど軽いものです。だからこそ、握力でねじ伏せるより、繊細に扱いたい。私は選手に「握るより引っ掛ける」と伝えています。鉄棒にぶら下がるとき、握り込むとすぐ疲れますが、指を引っ掛けるようにすると長く耐えられますよね。末端で力をコントロールしようとすると、かえって負荷が増えやすい——これは、私が現場で使うたとえです。 この感覚には、疲労の面からの裏づけもあります。シミュレーションで75球を投げた研究では、投球数が増えるほど利き腕の握力も球速もともに低下し、前腕の屈筋群は最も筋痛を感じやすい部位の一つでした。過剰な握力は前腕を早く疲れさせ、効率を下げます。軽いボールだからこそ、握り込みすぎず、身体全体でコントロールする意識が生きてきます。 関節の自然な動きを守る — 連動性とケガ予防は表裏一体 関節には自然に曲がりやすい方向があり、それに逆らって無理に動かすと負担がかかります。連動が乱れて特定の関節にストレスが集中すると、腕への負担が増え、ケガのリスクも高まります。効率的な近位→遠位の連動は投球腕への負担を減らすとされ、逆に連動の乱れは肩や肘の関節ストレスの増加に結びつくと報告されています。連動性を整えることは、球速づくりであると同時に、身体を守ることでもあるのです。 なお、すでに肩や肘に痛みがある、過去にケガをした経験があるという場合は、自己流でフォームを変える前に、整形外科やスポーツドクター、専門家に相談してください。痛みは身体からのサインです。無理を重ねないことが、長く投げ続けるための一番の近道だと私は考えています。 「脱力」はサボりではない — 力む選手と抜ける選手の違い 「力を抜く」と言うと、手を抜くことだと誤解されがちですが、まったく違います。運動学習の研究では、初心者ほど主働筋と拮抗筋を同時に働かせる「同時収縮」が多く、上達するにつれて不要な同時収縮が減っていくと分かっています。過剰な同時収縮はエネルギー効率を下げ、動きを乱し、疲労を早めます。「力める選手」より「抜ける選手」の方が、結果として効率よく投げられるのはこのためです。 ただし、力みがすべて悪というわけではありません。関節を安定させ、外からの乱れに素早く対応するためには、適度な張り(小さな同時収縮)はむしろ有利だとされています。目指したいのは「ゼロの脱力」ではなく、「必要なところに、必要なだけ」。下半身は強く、末端は緩める。その配分こそが、連動性を意識した投球フォームの核心です。 やり投げで世界・五輪に立った村上幸史の視点 — 投てきの連鎖を投球へ 私はもともと野球出身ではなく、やり投げの選手として競技をしてきました。2009年の世界陸上ベルリン大会で銅メダルを獲得し、オリンピックにも3大会連続で出場しました。やり投げも、軽い物体(やり)を全身の運動連鎖で加速させる競技です。地面反力を体幹に伝え、最後に腕としなりで放つ——その原理は、投球と共通する部分がとても多いと感じています(もちろん助走や投げる物、肩・肘にかかる負担など、競技ごとに違う点もあります)。 だからこそ、投てきで培った「力の伝え方」を、野球の投球指導に転用できると考えています。村上幸史が監修する京都のジムとして、Y-TRAINING は京都で野球の動作指導を行っています。連動性を整えるには、土台となる身体づくりも欠かせません。あわせて、やり投げの原理を野球に転用する発想をまとめた陸上競技メソッドが他の競技にも効く理由も参考にしてみてください。 京都・西院のY-TRAININGでの動作トレーニング ここで一つ、正直にお伝えしておきます。ある研究で観察された投球では、少なくとも17種類のパターンがあり、「完全な近位→遠位」を示した投球は確認されませんでした。つまり、理想の連動はあくまで「目標とするモデル」であって、トッププロでも完璧に体現しているわけではありません。誰もが100点を取る必要はなく、今より一歩でも理想に近づけることが、効率とケガ予防の両面で有利になる——そう捉えてもらえれば十分です。 まとめ — 今日から意識できる連動性チェックポイント 難しい理論をすべて覚える必要はありません。次の6点を意識するだけで、フォームの土台は整いやすくなります。 力の出発点は腕ではなく地面。まず脚で地面を踏む感覚を確かめる 踏み込み脚は接地後に踏ん張り、膝を伸ばして体幹の回転を始動させる 腕から指先はリリースまで力まず、ムチのようにしならせる(完全脱力ではなくタイミング) ボールは握り込まず、「引っ掛ける」感覚で繊細にコントロールする 「力を入れるところで抜く」——下半身は強く、末端は緩める配分を覚える 痛みや違和感があるときは無理をせず、専門家に相談する 京都・西院/西京極エリアで、野球の球速アップや投球フォームの動作指導をお探しなら、京都市右京区・梅津・西院の Y-TRAINING へ。阪急「西京極」駅から車4分、阪急「西院」駅からも車4分、駐車場もあります。西院・西京極で通えるセミパーソナルジムとして、村上が一人ひとりの連動性を確認しながら、京都で野球の動作指導と球速アップをサポートします。10:00–20:00(水曜定休)、まずは60分の無料体験からお気軽にどうぞ。 腕を完全に脱力すれば、球速は上がりますか? 完全に力を抜くという意味ではありません。リリースの直前には前腕や指がしっかり働き、握力は球速とも関係します。大切なのは「力む順番とタイミング」です。下半身で生んだ力が末端に届くまで、腕で先回りして力まないこと。それが連動性を生かすコツです。 連動性を高めれば、誰でも理想のフォームになれますか? 研究では、実際の投球に少なくとも17パターンあり、完全な近位→遠位の連動を示した投球は確認されていません。理想はあくまで目標モデルです。完璧でなくても、近づくほど効率が上がり、腕への負担も減りやすくなります。現状から一歩ずつ整えていくのが現実的です。 球速アップに一番効くのは下半身ですか? 下半身・体幹は力の土台であり、特に踏み込み脚の地面反力は球速の良い予測因子だと報告されています。ただし、下半身だけを鍛えれば速くなるわけではなく、生んだ力を末端まで途切れず伝える「全身の連動」があってこそ生きてきます。 投げると肩や肘が痛みます。フォームを直せば治りますか? 連動の乱れは腕への負担を増やしますが、痛みの原因はフォームだけとは限りません。痛みや過去のケガがある場合は、自己判断でフォームを変える前に、整形外科やスポーツ専門家に相談してください。安全を確認したうえで、動作の改善に取り組むことをおすすめします。

2026.06.27

足裏の感覚が投球・打撃を変える|足底感覚の科学と鍛え方

投球やバッティングで「もっと力強く、もっと正確に」を求めるとき、多くの選手は腕や体幹を鍛えようとします。しかし、力の本当の出どころは、もっと下――足の裏(足底)にあります。やり投げで五輪3大会連続出場、世界陸上2009で銅メダルを獲得した村上幸史が監修する京都・西院のセミパーソナルジムY-TRAININGが、見落とされがちな「足底感覚」と、それが投球・打撃のパフォーマンスを左右する理由を、近年の研究をもとに整理します。 投球も打撃も、力は地面と足の裏のやり取りから生まれる なぜ筋力や技術を鍛えても、球速・打球が伸びないのか 筋トレを重ね、フォームも繰り返し練習しているのに、思うように球速や打球が伸びない――。指導の現場で、私はこうした「壁」に何度も出会ってきました。多くの場合、足りないのは筋力でも気持ちでもなく、足の裏から得られるバランス感覚と、地面からの力を受け取る感覚です。これを私たちは「足底感覚」と呼んでいます。腕や体幹という“目立つ部分”ばかりに目が向き、土台である足の裏が置き去りになっているケースは少なくありません。 足底感覚とは?――足裏に張りめぐらされた「センサー」 足の裏には、圧力や接地の状態を感じ取る「メカノレセプター(機械受容器)」と呼ばれるセンサーが、体の中でもとりわけ高い密度で集まっています。これらのセンサーは、地面からの圧の変化や重心のかたよりを瞬時に感知し、その情報を脳へ送ります。脳はそれをもとに、姿勢を保つための筋肉へ即座に指示を出します。 つまり足の裏は、単に体を支える土台であると同時に、「今、自分の体がどこにあり、どう傾いているか」を脳に伝える情報の入口でもあるのです。この感覚情報が正確であればあるほど、姿勢の制御はなめらかになり、動作は安定します。逆に足裏からの情報があいまいだと、姿勢を保つ筋肉がうまく働けず、動きの土台が揺らぎます。 足を支える「3つのアーチ」と筋肉 足の裏には、体重を受け止め、衝撃を吸収し、力を蓄えて返すための「アーチ(土踏まず)」が3つあります。このアーチ構造と、それを支える筋肉・腱が、足底感覚の土台になっています。 アーチ 位置 主な役割 内側縦アーチ かかと〜母指球(足の内側) 衝撃吸収とエネルギーの“ため・返し”の中心。いわゆる土踏まず 外側縦アーチ かかと〜小指球(足の外側) 内側より低いが、横方向の安定を支える 横アーチ 足の前方(指の付け根を横断) 体重を左右に均等に分散させる これらのアーチは、足裏全体に広がる足底腱膜や、足指を動かす短趾屈筋・母趾外転筋といった筋肉に支えられています。アーチがしっかり機能していると、着地の衝撃をやわらげ、ためた力をロスなく返すことができます。 なぜ「力は足から生まれる」のか――地面反力と運動連鎖 投球やバッティングの力は、腕の振りそのものではなく、地面を踏んで返ってくる反発(地面反力)から始まります。足の裏で地面をとらえ、その力を脚・体幹・腕へと順に伝えていく――この一連の流れを「運動連鎖(キネティックチェーン)」と呼びます。 投球動作を分析した研究では、踏み込んだ前脚で地面をしっかり「止める(ブレーキをかける)」力が大きい投手ほど、球速が高い傾向が報告されています。さらに、踏み込んだ膝が伸びる角度が大きいほどボールスピードが上がるという関係も示されており、地面反力が運動連鎖の“起点”になっていることがわかってきています。 足底感覚が鋭ければ、地面からの反力を正確に感じ取り、ムダなく上半身へ伝えられます。逆に足裏の感覚があいまいだと、せっかく生んだ力が途中で逃げてしまう。私が専門とするやり投げでも、助走で生んだ力を踏み込みで地面に受け止め、足から器具へ伝えていく点は野球とまったく同じです。投球・打撃の運動連鎖については、こちらの記事でも詳しく解説しています。 足底感覚が崩れるとどうなる?――扁平足・凹足と足首の不安定 アーチがうまく機能しなくなると、足底感覚も乱れます。代表的なのが扁平足と凹足(ハイアーチ)です。 扁平足:アーチが落ち、足が内側に倒れ込みやすい(回内)。バランスを失いやすくなる 凹足:アーチが高すぎて、足が外側に倒れやすい(回外)。衝撃吸収が苦手になりやすい どちらも足首の安定性を損ない、慢性的なグラつきやケガのリスクにつながりやすい状態です。特に投手のように足首へ繰り返し負担がかかる競技では、パフォーマンスにも影響します。痛みや明らかな変形がある場合は自己判断せず、整形外科など専門家に相談してください。 足底感覚を鍛える4つの方法 足裏の感覚は、日々の地道なアプローチで研ぎ澄ませる 足底感覚は、特別な道具がなくても日々のトレーニングで高められます。Y-TRAININGでも、土台づくりの一環として取り入れているアプローチを紹介します。 タオルギャザー:床に置いたタオルを足の指でたぐり寄せる。足指の筋肉とアーチを刺激する基本ドリル 不安定面でのトレーニング:バランスボードや柔らかいマットの上で立つ・しゃがむ。足裏のセンサーを刺激し、バランス感覚を養う 裸足でのトレーニング:裸足でのスクワットや軽い運動で、足裏の感覚を直接得る(安全な環境で) 足裏のケア:足裏のマッサージや足指のストレッチで、柔軟性と血流を保つ かんたんセルフチェック:目を閉じて片足立ちをしてみてください。グラついてすぐに足をついてしまう場合は、足底感覚やバランスを高める余地があるサインです。左右差にも注目してみましょう。 よくある質問 足底感覚を鍛えると、どれくらいで変わりますか? 感じ方には個人差がありますが、足裏のセンサーやバランスは日々の積み重ねで少しずつ整っていきます。劇的な即効性をうたうものではなく、土台を着実に育てるという意識が大切です。 扁平足でもトレーニングして大丈夫ですか? 基本的なアプローチは取り入れて問題ありませんが、痛みや強い変形がある場合は専門家に相談してから行ってください。状態に合わせて内容を調整することが大切です。 裸足のトレーニングは危なくありませんか? 床に物がない安全な場所で、無理のない範囲で行えば有効です。屋外や硬い地面でいきなり行うのは避け、室内の安全な環境から始めましょう。 野球以外のスポーツにも役立ちますか? はい。地面から力を得て体に伝えるという仕組みは、走る・跳ぶ・投げるあらゆる動作に共通します。足底感覚は競技を問わず、パフォーマンスの土台になります。

2026.06.12

陸上競技メソッドがなぜ他の競技にも効くのか|京都・五輪選手監修

「走る・跳ぶ・投げる」を極めた陸上競技のメソッドが、野球・サッカー・ゴルフなど他競技にも応用できる理由を、やり投げ五輪3大会連続出場の村上幸史監修の京都・西院Y-TRAININGが解説。

2026.06.11

野球の投球・打撃フォームを変える運動連鎖|京都で動作指導

投球フォームと打撃動作を「下半身→体幹→上肢」の運動連鎖から見直すポイントを、やり投げ五輪3大会連続出場の村上幸史監修のもと最新の知見で解説。京都・西院のY-TRAINING。

2026.06.11

速く走るコツは股関節の使い方|京都・五輪選手監修

速く走るコツは脚の回転より股関節の使い方。地面反力・接地位置・かかと着地の最新研究をもとに、やり投げ五輪選手・村上幸史監修の京都Y-TRAININGが解説。

電話 LINE 無料体験