「球速を上げたい」と思ったとき、多くの選手はまず腕や肩を鍛えようとします。けれど、球速を決めているのは腕の強さだけではありません。球速を上げる近道は、スピードガンの数字を追うことではなく、下半身で生んだ力を逃さず指先まで伝えられる身体をつくることです。京都市右京区・西院のセミパーソナルジム Y-TRAINING では、やり投げで世界・五輪の舞台に立った村上幸史が監修し、京都で野球の球速アップと動作指導を行っています。この記事では、私(村上)が現場で伝えている「球速の考え方」を、投球を分析した研究の知見とあわせて解説します。

球速を上げるための投球と身体の使い方のイメージ
球速は「腕の強さ」だけでなく、全身で力を伝える能力が大きく関わります。

スピードガンの数字は「結果」であって、鍛える対象ではない

まず大前提として、スピードガンの数字は、あなたが投げた結果として出てくる「出力」です。数字そのものを直接鍛えることはできません。それなのに、練習のたびに数字が1km/h上がった下がったで一喜一憂してしまう選手は少なくありません。私は、そこに落とし穴があると考えています。

やり投げの記録も、風やコンディションで簡単にブレます。数字だけを見ていると、良い日と悪い日で気持ちが上下し、本当に伸ばすべきものが見えなくなります。数字は「今の実力を映す鏡」として月単位で確かめる程度にして、日々意識するのは数字ではなく、その数字を生み出している「力の伝わり方」だと私は考えています。数字だけを他人と比べることは、かえって成長を止めてしまうことさえあります。

「速い球」は、力を逃さず伝えた結果 — 地面反力とパワーロス

では、その力はどこから生まれるのか。出発点は「腕」ではなく「地面」です。脚で地面を踏んで生まれた力を、逃さず指先まで伝えられたとき、ボールは効率よく加速します(力がどう伝わっていくかの詳しい仕組みは後述の連動性の記事にゆずり、ここでは「力をどこで逃すか」に絞ります)。

投球を分析した研究でも、踏み込み脚が地面を踏む力(地面反力)と球速には強い関係があると報告されています。速く投げる選手ほど踏み込み脚の地面反力が大きく、最も速い部類の投手では、踏み込み脚の地面反力が体重の約2倍に達したという報告もあります。逆に、地面反力が明らかに小さい場合は、どこかで連動が切れて力を逃している可能性があると考えられています。「腕は強いのに球が走らない」という選手を、私は現場で少なからず見てきました。その多くは、力そのものが足りないというより、生んだ力を途中で逃していることが一因ではないかと感じています。

局面 役割 力を逃しやすいポイント
踏み込み脚・地面反力 力を生む出発点 踏ん張れず、地面を押し切れない
骨盤・体幹の回転 力を中継して増幅する 下半身より先に上半身が開く
肩・腕・指先 最後にボールへ伝える 力んで、しなりを使えない

投球フォームそのものの仕組み、地面から指先への力の伝わり方については、連動性を意識した投球フォームの記事で詳しく解説しています。あわせて読むと、球速がどこで生まれ、どこで逃げるのかが立体的に見えてきます。

パワーとスピードは違う — 重い重量が球速を保証しない

「球速を上げたいから、とにかく重いウェイトを挙げる」。これは、私がもっとも注意してほしいと思う考え方のひとつです。パワー(大きな力)とスピード(速さ)は、似ているようで別の能力だからです。

ベンチプレスやスクワットで挙げられる重量が増えても、それがそのまま球速につながるとは限りません。投球のように一瞬で終わる動作で大切なのは、「大きな力」だけでなく「その力をどれだけ速く出せるか」、そして「出した力を無駄なく末端まで伝えられるか」です。いくら強い筋力があっても、力を出すのが遅かったり、途中で逃したりすれば、ボールは走りません。私はやり投げでも、重いバーベルを挙げることより、生んだ力を最後の一点に集めて速く放つことに時間を割いてきました。競技は違っても、この原則は共通していると感じています。

「どんな筋トレをすれば球速は上がりますか?」への答え

これは本当によく聞かれる質問です。正直にお答えすると、「これさえやれば必ず上がる」という魔法の種目はありません。ただし、研究から見えてきた手がかりはあります。

成人投手を対象にした複数の研究をまとめたレビューでは、股関節まわりの筋力や柔軟性が、球速の予測因子のひとつだと報告されています(17件の研究・投手909名をまとめた分析)。つまり、下半身、とくに股関節の力と動きは、球速の土台として無視できないということです。走る動作でも同じことが言え、股関節の使い方は球速にも走力にも関わってきます。

一方で、「筋トレをすれば必ず球速が上がる」とは言い切れません。トレーニングで球速が伸びたという研究では、その向上幅は3.7〜26%と幅があり、対照群と比べて明確に有意だったのは、およそ半分の研究にとどまりました。効果を出すには、十分な期間(目安として6週間以上)と負荷、そして何より「鍛えた力を投球動作へ転移させること」が欠かせません。ジムで挙げた重量を、投げる動きにつなげる橋渡しがなければ、筋力は宝の持ち腐れになってしまいます。具体的にどの筋肉が球速とスイングを支えるかは、野球に必要な筋肉の記事にまとめています。

数字より「力の伝え方」を優先する — 今日からのチェックポイント

難しい理論をすべて覚える必要はありません。球速を上げたいと思ったら、次の順番で考えてみてください。

京都・西院/西京極エリアで、野球の球速アップや投球フォームの動作指導をお探しなら、京都市右京区・梅津・西院の Y-TRAINING へ。阪急「西院」駅・「西京極」駅から車で4分、駐車場もあります。10:00〜20:00(水曜定休)、まずは60分の無料体験から、あなたが「どこで力を逃しているか」を村上が一緒に確かめます。

よくある質問

球速を上げるには、まず何から始めればいいですか?

腕を鍛える前に、力の出発点である下半身、とくに股関節の力と動き、そして踏み込み脚で地面を押し切る感覚から始めることをおすすめします。研究でも股関節まわりの筋力は球速の予測因子とされています。生んだ力を逃さず伝えるフォームづくりと並行して進めるのが近道です。

筋トレをすれば球速は上がりますか?

上がる可能性はありますが、必ず上がるとは言い切れません。トレーニングで球速が伸びたという研究もありますが、向上幅には幅があり、明確に有意だった研究は半分ほどでした。十分な期間(6週間以上が目安)と負荷、そして鍛えた力を投球動作へ転移させること。これらがそろうほど、球速につながりやすくなります。

スピードガンの数字は気にしなくていいのですか?

まったく無視する必要はありませんが、日々の練習で1km/hの上下に一喜一憂するのはおすすめしません。数字はあくまで結果です。月単位で全体の傾向を見て、日々意識するのは数字を生み出す「力の伝わり方」に置くと、遠回りに見えて実は近道になります。

京都で野球の球速アップや動作指導を受けられますか?

はい。京都市右京区・西院のセミパーソナルジム Y-TRAINING で、やり投げで世界・五輪に立った村上幸史監修のもと、京都で野球の球速アップと動作指導を行っています。阪急「西院」駅・「西京極」駅から車で4分、駐車場あり、10:00〜20:00(水曜定休)です。まずは60分の無料体験からお気軽にどうぞ。