「身体が柔らかい方が、スポーツでは有利」
「ケガをしないためには、とにかくストレッチをした方がいい」
このように考えている方は多いのではないでしょうか。
もちろん、身体の柔軟性はスポーツのパフォーマンスや日常生活において大切な要素のひとつです。しかし、前屈で床に手がつく、開脚が大きくできるからといって、必ずしも「身体をうまく使えている」とは限りません。
そこで知っておきたいのが、「柔軟性」と「可動性」の違いです。
似ているように感じる2つですが、それぞれ意味が異なります。
今回は、柔軟性と可動性の違いと、スポーツやトレーニングにおいてなぜ両方が重要なのかについて解説します。
「柔軟性」とは?
柔軟性とは、筋肉や腱などが伸びることで、関節をどこまで動かせるかを表すものです。
例えば、前屈をしたときに手が床につく、開脚したときに脚を大きく広げられるといったことは、柔軟性をイメージしやすい例でしょう。
柔軟性が不足すると、身体を動かせる範囲が狭くなり、競技に必要な動作を行いにくくなる場合があります。
そのため、ストレッチなどを取り入れて柔軟性を保つことは大切です。
しかし、ここで注意したいのが、「大きな範囲まで動かせること」と「その範囲を自分でコントロールできること」は別だという点です。
「可動性」とは?
可動性とは、関節を動かせる範囲だけでなく、その範囲の中で自分の身体をコントロールして動かす能力まで含めた考え方です。
例えば、仰向けになった状態で誰かに脚を持ち上げてもらえば高く上がるのに、自分の力では同じ高さまで上げられないことがあります。
この場合、身体そのものには動くだけの柔軟性があっても、その範囲を自分の力で使えていない可能性があります。
スポーツでは、走る、跳ぶ、蹴る、投げる、方向転換するなど、さまざまな動作の中で自分自身の身体をコントロールしなければなりません。
だからこそ、柔軟性を高めるだけでなく、「動ける範囲を自分で使える状態」にすることが重要なのです。
身体が柔らかければケガをしにくい?
「身体が硬いとケガをする」と聞いたことがある方も多いかもしれません。
確かに、競技に必要な動きに対して可動域が不足していれば、別の部位が動きを補おうとして負担がかかることがあります。
一方で、柔らかければ柔らかいほど良いというわけでもありません。
大きく動く関節を持っていても、その範囲を筋肉でうまくコントロールできなければ、競技中の素早い動作や大きな力が加わった際に身体を安定させにくくなることがあります。
大切なのは、「どこまで動くか」だけではなく、「その範囲をどれだけコントロールできるか」まで考えることです。
ストレッチだけで終わらせない
柔軟性を高めるためにストレッチを取り入れている方は多いでしょう。
もちろんストレッチも大切ですが、それだけで身体の使い方まで身につくとは限りません。
例えば股関節の動く範囲を広げたのであれば、その範囲を使って脚を動かしたり、片脚で身体を支えたりするトレーニングを取り入れることで、実際の動作につなげていくことができます。
「動く範囲をつくる」だけで終わらず、「その範囲を自分で使えるようにする」。
柔軟性と可動性の両方を意識することで、身体をよりスムーズに使えるようになり、パフォーマンスの向上やケガの予防にもつながります。
競技によって必要な動きは異なり、一人ひとり身体の特徴も違います。
「身体は柔らかいのに、動きにくい」
「ストレッチを続けているのに、競技中の動きが変わらない」
そんな方は、「どれだけ柔らかいか」だけではなく、「その範囲を自分で使えているか」という視点から身体を見直してみてはいかがでしょうか。